ジャパンボウル入賞者の日本研修旅行に協力(2)

2)  ジャパンボウルサポーターズグループ(JBSG)主催の交流会を開催

Kakehashi Projectが用意した8日間のプログラム(日本国際協力センター:JICE作成)で、8月9日(火)の半日をいただき、ジャパンボウル入賞者を歓迎する、JBSG主催の初めての交流会を開催しました。高校生達が最も望んでいるのは、同世代の日本の若者達との交流だとの情報をもとに、日本の高校生や大学生に参加を呼びかけ、日米の学生さん同士が直接触れあい、交流できる場を提供することを目的としました。ちょうど夏休み期間中で、高校生の参加は難航しましたが、それでも日本女子大附属高校生4名、立教女学院高校生3名、加えて、東京大学と国際基督教大学の長唄研究会の大学生、大学院生12名、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会のOBの大学生9名が参加して下さいました。
以下プログラムの順にその様子を簡単に紹介します。

日時:2016年8月9日(火) 10;00-13:30
場所:日本女子大学桜楓2号館
プログラム:
10:00 開会の辞
10:05-10:45 長唄・三味線の演奏とワークショップ
(稀音家六綾先生、東京大学、国際基督教大学長唄研究会)
10:45-11:30 手作り団扇のワークショップ
11:30-13:15 軽食をとりながらの交流会

①開会
天気予報で、今夏最高気温になると予想されていた猛暑のこの日、研修旅行の高校生が付き添いの先生、JICEの担当者、外務省担当者達と一緒に元気に会場に到着し、ほぼ定刻に会が始まりました。開会に先立ち、JBディレクターの神尾からJBSGの結成に至る経緯が紹介され、あらためて結成3年の時の流れを実感しました。

②長唄・三味線の演奏とワークショップ
三味線の稀音家六綾先生は、「希扇会」を主宰されていて、多くの大学で三味線の講師を務め、若い世代をはじめ、国内はもとより海外でも広く三味線の普及に尽力されておられます。JBSGでは六綾先生に協力していただき、交流会の幕開けに東京大学と国際基督教大学の長唄研究会の学生さん達による、長唄・三味線の演奏を持ってきました。今夏一番の暑さを記録したこの日、和服に着替えた学生さん達の長唄と三味線の演奏は、真剣さと若さがみなぎった素敵な音色を奏でました。

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最初に六綾先生から日本語と英語による三味線の歴史や演奏様式、歌舞伎における三味線の役割など、とても分かりやすくかつ興味深い説明がありました。要領を得た”しおり“も配布され、アメリカの高校生のみならず、我々を含めほとんどの参加者が初めて知る内容で、古代エジプト(ネフェル)からペルシャ(セタール)、モンゴル(ホーブスー)、中国(サンゲン)、沖縄(サンシン)と変遷して日本で根付いた三味線の由来は、壮大な距離と時間をしのばせて、三味線をあらためて見直す機会にもなりました。そしていよいよ演奏です。


ほぼ全員が、大学に入ってから初めて三味線に触れる「全くの素人集団である」と、六綾先生から念を押されていましたが、私達にとっては、溌溂とした素晴らしい演奏で、すっかり感激しました。途中で先生から曲の解説もあり、アメリカの高校生も興味深々の様子で聞き入っていました。また、紙芝居よろしく、先生の説明を絵で表した大きな紙を掲げ、理解を助ける工夫をしたプレゼンテーションに、研究会の学生さん達の心意気が良く伝わってきました。最後に全員で元気に「東京音頭」を合唱し、楽しい演奏が終了しました。

③記念撮影

演奏家の皆さんが正装している間に記念撮影です。皆の楽しそうな表情にご注目下さい。20160809-18

④ 手作り団扇のワークショップ
用意したもの
竹製の無地団扇
千代紙 糊 ハサミ
カラーペン
筆、墨
参加者全員に無地の団扇を配り、千代紙やカラーペンを使って自由に団扇に模様を付けてもらいました。コーナーに墨と筆を用意し、JBSG支援者の書家に協力してもらい、希望者には日本の文字を筆で書いてもらったり、自分で文字や絵を描いたりできる場所も設けました。最初はやや戸惑っていたアメリカの高校生達も、日本の学生さん達のやり方を見たり、指導を受けたりして、あっという間に要領を覚え、器用に千代紙を切ったりちぎったり、絵をかいたり、文字を書いたりと自分の団扇作りを楽しんでくれました。中には、自分の名前を漢字にあてはめ、「この字を書いて!」と頼みにくる人、好きな漢字を紙に書いて、「筆でこの空間にこのように書いて!」とリクエストする人もいて、会場は賑やかな雰囲気になってきました。

くじ引きで席を決めたおかげで、最初は戸惑い気味の日米の学生さん同士が、このワークショップを行うことで、作品を見せ合ったり、助言をしたりして、すっかり打ち解けてきました。完成した団扇は、私達の予想をはるかに超えた、自由で伸びやかな個性的な仕上がりで、若さの素晴らしさを痛感しました。

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⑤ 昼食をとりながらの交流会・三味線ワークショップ

「お腹すいた!」の無邪気な声にせかされて、コーナーにお寿司、カツサンド,唐揚げ、焼き鳥、温野菜サラダ、オードブル、果物、飲み物などを準備しました。img_0973また、今朝早く収穫したという数種類のミニトマトを、山のように抱えて持参してくれた、JBSGの協力者のおかげで、瑞々しくて美味しいトマトをカップに入れて彩よく配置すると、なかなかのお料理になりました。

連日のパーティー料理で飽きないか心配しましたが、予想以上に好評で皆積極的に取り分けてくれ、安堵しました。作ったばかりの団扇を見せ合ったり、メール交換をしたり、何やら楽しそうに会話を続けたりと、各テーブルがすっかり賑わってきてうまく交流しあっている状況がはっきり見て取れるようになってきました。大学生達の存在も大きく、彼らは日米両高校生達の会話のつなぎ手として、重要な働きをしてくれました。

お腹が少し満たされたところで、長唄研究会のご好意で練習用の三味線数棹を、会場に用意していただき、研究会の学生さん達が弾き方を指導して下さるワークショップが始まりました。最初は少し躊躇していた高校生達も、一人、二人と挑戦する人が現れると、自分もやりたくなるようで、最後は列ができるほどの盛況ぶりになりました。どの人も三味線の持ち方、撥の使い方などの説明や指導を受けると、それなりになかなか様になって行きます。説明はとても分かりやすく、習っている学生は皆真剣です。会場のあちこちで柔らかな三味線の音が響いていました。

④閉会

手作りペン皿

あっという間の3時間半でした。会の終わりに、JBSGのメンバー手作りの「ペン皿」を、プレゼントしました。これは、JBSGのメンバーと協力者達で作成したオリジナル作品です。付き添いの先生方には、抹茶茶碗をお渡ししました。

高校生の代表からは、心のこもったお礼の言葉と、今年のジャパンボウルのパンフレットやグッズをいただきました。

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ワシントンDC日米協会会長夫人、マロット裕子さんの遺志を継ぐ形で立ち上げたJBSGですが、メンバーとその協力者も合わせると総勢80名でこの交流会を無事に開くことができました。彼岸で彼女が喜んでいてくれるような気がしています。いつも応援して下さる皆様のご協力に感謝するばかりです。

明るくパワー溢れるアメリカの高校生達は、日本に来てどのような感想を持っているのでしょうか。彼らと交流した日本の高校生や大学生・大学院生は何を感じたのでしょうか。今だけでなく、数年後、数十年後にもその答えを聞いてみたい気がします。参加した日本女子大附属高校生達は、この交流会の模様を、「学校新聞」に掲載したそうで、その記事を読む機会がありました。”双方が日本語と英語を交えながら、一生懸命会話をし、何とか理解しようと向き合う真っすぐな気持ちがお互いにあることを感じ、それが格別に嬉しかった”こと、”外国人との交流というより、新しい友達とのおしゃべり”という感覚になるほど夢中で会話をした素敵な時間だった、と結んでありました。主催者として、嬉しい限りです。

JBSGの活動を知って、快く協力して下さった、稀音家六綾先生、東京大学、国際基督教大学の長唄研究会の皆様、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会のOBの皆様に心から御礼申し上げます。また、日本国際協力センターから多大なご協力をいただきました。有難うございました。